ドコモの提供するプラン内容がまったく新しいものに変わることをご存知でしょうか。
2019年6月から、複雑化し過ぎてしまった料金形態を一新し、「シンプルでお得な料金プラン」と銘打ったドコモの新料金プラン(分離プラン)が始まりました。
新料金プランは、「ギガホ」と「ギガライト」という2つのプランを選ぶだけとなりますが、それだけで月額の料金が決まるわけではありません。
上記の基本プランに「みんなドコモ割」と「ドコモ光セット割」という2つの割引が加わることで、月額料金に影響を大きな与えます。
この記事では、ドコモの新料金プランに付いてくる割引関連について説明します。この記事を読めば、ドコモの新料金プランの割引内容と適用条件を理解することができます。
私は家電量販店で携帯の販売員をしています。ドコモの営業担当者などから直接仕入れた情報を元に、新料金プランの内容を紐解いていきます。
みんなドコモ割
ドコモは、大手3キャリアの中でも「家族でまとめて加入するとお得」という側面がありました。それは、旧料金のシェアパックと呼ばれる家族プランがあったからです。
ただし、新料金に移行するにあたって、今後シェアパックというプランはなくなります。これからは、ファミリー割引の中に加入しているすべての人が対象となる「みんなドコモ割」が適用されます。
みんなドコモ割とは、2回線なら1台あたり▲500円/月(税抜)引き、3回線なら1台あたり▲1000円/月(税抜)引きという割引になります。
みんなドコモ割は、「ファミリー割引内の音声回線数」に応じて割引額が決定します。それは、新料金プランではない旧料金の回線であっても、みんなドコモ割のカウント対象になることを意味します。
ただし、割引されるのは「ギガホ」「ギガライト」に加入している回線のみのため、そこは注意が必要です。
カウント対象は、ファミリー割引グループ内の音声プラン(カケホーダイ&パケあえる、2in1・キッズを除くすべての旧料金プラン含む)が対象になります。
▼割引・カウント対象の一覧
ひとつ、例を見せましょう。例えば、父・母・息子・娘の4人家族がいたとします。それぞれ、以下の画像に書かれたプランに加入していた場合、割引は誰に適用されるでしょうか。
▼割引適用イメージ
この場合、割引が適用されるのはギガホとギガライトに加入している母と娘の2人だけとなります。
音声回線数でカウントをするため、「ギガホ」「ギガライト」以外の旧音声プランも込みで3回線以上あれば▲1000円/月(税抜)になります。
ちなみに、支払先の請求グループが別だったとしても、関係なくカウント対象に入ります。あくまで、ファミリー割引グループという括りにさえ入っていれば、「みんなドコモ割」は適用されると考えてください。
ドコモ光セット割
ドコモに限らず、携帯会社が指定する固定回線(ブロードバンド)を自宅に引いていれば、携帯の毎月の料金にコラボ割引が適用されます。auはコミュファ光やNURO光、ソフトバンクはsoftbank光などが対象となっています。
そして、ドコモのユーザーは、ドコモ光に加入することで「ドコモ光セット割」を受けることができます。
ドコモ光セット割を受ける場合、支払いをまとめたり割引を受けたりする回線を決める必要があります。この回線のことをドコモ光の「ペア回線」と呼びます。
新料金プランでは、ファミリー割引グループ内に1回線でもドコモ光のペア回線があれば、ファミリー割引グループ内の全ての「ギガホ」「ギガライト」が割引されます。
ファミリー割引は、代表者から見て三親等以内であれば、親戚も含めて10回線まで加入できます。
画像で言っている家族割とは、「ファミリー割引」グループ、「ビジネス通話割引」グループのことを指します(ビジネス通話割引の場合、最大20回線分まで割引できます)。
ドコモ光セット割の条件
ドコモ光セット割とは、当月内に「ドコモ光」の課金が1回線以上あった場合、ファミリー割引内のすべての「ギガホ/ギガライト回線」の月額料金を自動的に割引するというものです。
基本的に、ファミリー割引グループ内の「ギガホ」「ギガライト」であれば、すべての回線が対象になります。ただ、ひとつだけ例外があります。それは、「ドコモ光ミニ」というプランを契約している場合です。
ドコモ光には、「月額料金が定額の契約(=ドコモ光)」と、使った分だけ料金が上がる「従量制の契約(=ドコモ光ミニ)」が存在します。この従量制のプランを「ドコモ光ミニ」と言います。
もし、グループ内の光回線が「ドコモ光ミニ」のみだった場合は、「ドコモ光ミニ」のペア回線のみ割引されます。
また、以下の表のように「ドコモ光」と「ドコモ光ミニ」では、割引される金額も変わります(表内はすべて税抜きです)。
▼ドコモ光セット割の割引額
タイプA/B/C/単独 | 光ミニのみ | |
ギガホ(30GB) | ▲1000円/月 | ▲500円/月 |
ギガライト(7GB未満) | ▲1000円/月 | ▲500円/月 |
ギガライト(5GB未満) | ▲1000円/月 | ▲500円/月 |
ギガライト(3GB未満) | ▲500円/月 | ▲200円/月 |
ギガライト(1GB未満) | なし | なし |
このように、「ドコモ光」か「ドコモ光ミニ」のいずれかにより、割引対象の回線が変わったり、割引額が変動したりします。
また、表に書いてある通り、ギガライトの1GB未満の利用時の場合は、ドコモ光セット割の割引対象から外れるため、注意してください。
ドコモ光セット割の適用例
重要なポイントとして、新料金プラン開始後も、旧プランのパケットパック契約者には「旧プランのドコモ光セット割が継続適用」されるという事実があります。
では、ファミリー割引内に「ギガホ・ギガライト(新料金)」と「カケホーダイ&パケあえる(旧料金)」が混在していた場合、ドコモ光セット割はどのように適用されるのでしょうか。
ドコモ光セット割は、「ドコモ光」およびペア回線の料金プランによって、割引対象が決定します。その内容はやや複雑です。
結論だけ先に述べると、ドコモ光セット割の適用対象は以下のようにまとめられます(表内のシェアパックは、すべて同一グループのシェアパックとします)。
ファミ割内に 他ペア回線あり | ファミ割内の シェアパックに 他ペア回線あり | ファミ割内に 他ペア回線なし | |
ギガホ・ギガライト (新料金)のペア回線 | 〇 | 〇 | 〇 |
カケ&パケ単独 (旧料金)のペア回線 | 〇 | 〇 | 〇 |
シェアパック (旧料金)のペア回線 | 〇 | 〇 | 〇 |
ギガホ・ギガライトの 非ペア回線 | 〇 | 〇 | × |
カケ&パケ単独の 非ペア回線 | × | × | × |
シェアパックの 非ペア回線 | × | 〇 | × |
ただ、上記の表を見ただけでは、内容が掴みづらいと思います。
そこで、表内の情報を元にいくつか例を出します。
ドコモ光のペア回線がどの回線と紐付くのかによって、ドコモ光セット割が適用される場合と、そうでない場合のシミュレーションを以下に記載します。
■シチュエーション
・ファミリー割引内に、ギガホ・ギガライトが2回線
・ファミリー割引内に、旧料金プランが1回線
・ファミリー割引内に、3回線分まとまったシェアパックが1グループ
■シミュレーション①
シェアパック内のE回線がドコモ光のペア回線の場合
注目ポイント
・新料金(ギガホ・ギガライト)は非ペア回線でも割引が適用
・新料金だけでなく旧料金(シェアパック)の代表回線も同時に割引が適用
「ドコモ光」のペア回線が「カケホーダイ&パケあえる(旧料金)」であっても、ギガホ・ギガライト(新料金)の回線は割引を受けることができます。
なぜなら、新料金プランがドコモ光セット割を受けられるかどうかは、あくまでファミリー割引グループ内に「ドコモ光」のペア回線がいるかどうかで判断されるからです。
また、ドコモ光セット割は、同じファミリー割引内に新料金と旧料金が混在していた場合、新料金には新料金向けの、旧料金プランには旧料金向けのドコモ光セット割がそれぞれ適用されます。
ちなみに、旧料金向けのドコモ光セット割とは、以下の内容になります。
▼旧料金プランのドコモ光セット割(表内はすべて税抜きです)
パケットパック | ドコモ光セット割 |
ウルトラシェアパック100 | 代表回線のみ▲3500円/月 |
ウルトラシェアパック50 | 代表回線のみ▲2900円/月 |
ウルトラシェアパック30 | 代表回線のみ▲2500円/月 |
ベーシックシェアパック(30GB未満) | 代表回線のみ▲1800円/月 |
ベーシックシェアパック(15GB未満) | 代表回線のみ▲1800円/月 |
ベーシックシェアパック(10GB未満) | 代表回線のみ▲1200円/月 |
ベーシックシェアパック(5GB未満) | 代表回線のみ▲800円/月 |
ウルトラデータLLパック(30GB) | ペア回線に▲1600円/月 |
ウルトラデータLパック(20GB) | ペア回線に▲1400円/月 |
ベーシックパック(20GB未満) | ペア回線に▲800円/月 |
ベーシックパック(5GB未満) | ペア回線に▲800円/月 |
ベーシックパック(3GB未満) | ペア回線に▲200円/月 |
ベーシックパック(1GB未満) | ペア回線に▲100円/月 |
■シミュレーション②
C回線(旧料金プラン)がドコモ光のペア回線の場合
注目ポイント
・新料金(ギガホ・ギガライト)は非ペア回線でも割引が適用
・旧料金(カケ&パケ単独)でもドコモ光のペア回線であれば割引が適用
・旧料金(シェアパック)はグループ内にドコモ光がないため割引は非適用
「新料金プラン(ギガホ・ギガライト)」はシチュエーション①と同じく、非ペア回線であったとしても、ファミリー割引グループ内にペア回線があればドコモ光セット割が適用されます。
また、今回は「旧料金プラン(カケ&パケ単独)」にドコモ光が付いているため、この回線にも旧料金向けの割引が適用されます。
ただし、「旧料金(シェアパック)」のグループ内には、1回線もペア回線が存在しないため、シェアグループはドコモ光セット割の適用対象外となります。
■シチュエーション③
シェアパック内のE回線が「ドコモ光ミニ」のペア回線の場合
注目ポイント
・新料金(ギガホ・ギガライト)がファミ割内にペア回線があっても非適用
・旧料金(シェアパック)内にはドコモ光ミニのペア回線があるため適用
新料金(ギガホ・ギガライト)は、ファミリー割引グループ内に1回線でもドコモ光セット割のペア回線があれば、割引の対象になると伝えました。
しかし、今回のケースでは、該当のペア回線が「ドコモ光ミニ」となります。ドコモ光ミニは、ペア回線のみしか割引できないという条件があります。
そのため、グループ内のペア回線がドコモ光ミニしか無い場合、新料金(ギガホ・ギガライト)の回線に割引が適用されることはありません。
また、ドコモ光ミニのペア回線は旧料金(シェアパック)のグループ内にあります。この場合、割引はシェアグループの代表回線から引かれることになります(支払いを均等分割にしている場合は別)。
安くするためには多くの条件を満たす必要がある
ドコモの公式サイトを見ると、「ギガホ5980円!」「ギガライト1980円!」のような謳い文句が出てきますが、これらは本記事で説明した割引を適用した場合の月額料金となっています。
そのため、ドコモの新料金プランで比較的安くスマホを持つためには、「みんなドコモ割」と「ドコモ光セット割」の割引をフル活用しなければなりません。
また、新料金プランと旧料金プランが、同じファミリー割引グループ内に混在している場合、割引の適用条件は複雑になります。そのため、本記事で解説した内容を理解して、プランの変更に臨まなければなりません。
契約縛りや条件付きが多いため、本当にシンプルで安くスマホを運用したい場合、格安SIMに変えることをおすすめします。
大手携帯会社では、ショップ店員に不要なオプションを付けられたり、複雑な条件で分かりにくかったり、なかなか理想的な契約を行うことができません。
一方で格安SIMであれば、Webから申し込むことで月1,500~2,000円などの通信料となります。また、プラン内容も、すべて自分の思い通りに決めることができるため、不要なオプションで金額が高騰することはありません。
ただ、格安SIMによって、以下のような違いがあります。
- 通信速度の速さ
- 特典やキャンペーンの充実度
- アフターフォロー
- ショップの有無
- カード払い以外の支払いが可能か
- 単独契約向けか複数契約(家族)向けか
これらを理解したうえで格安SIMを選ぶようにしましょう。以下のページで格安SIMの特徴を解説しているため、それぞれの事業者の違いを学ぶことで、格安SIMを選ぶときの失敗を防ぐことができます。